
ごあいさつ
16歳で演劇を初めて以来、演劇意外ほぼ何もやっていません。高校の部活も演劇だったし、大学も演劇の学科だったし、在学中に劇団を旗揚げしたので、講義が終わってからも演劇をしていました。勿論卒業後も演劇です。とある劇団の演出部に入ったのですが、とんでもない時間拘束される上に給料も出ないので大変でした。蓄えは一瞬で消えました。大人になってしまった私には、「演劇だけをする」ことが許されなかったのです。
仕方がないので働きます。在学中も多少はバイトしていたのですが、その何倍も何倍も働きました。基本的には飲食業です。シフトの融通が利いて賄いが出るからだいたいの演劇人は飲食業ですよね。(偏見です)昼間は生パスタの店のホール。夜は居酒屋。空いた日には蕎麦屋の派遣。生パスタの店では結構楽しく働いていたのですが、なんか従業員が営業中に買い出しに行った先で女の人のスカートの中を盗撮して逮捕されて閉店しました。居酒屋は辞めました。この間見に行ったら無くなっていました。
次は昼にイタリアンの洗い場。夜に別のイタリアンのキッチン。接客は嫌だって言ってるのに接客ばかりやらされて泣きました。次の日からキッチンになりました。接客と発注以外は何もかも全てやっていました。肉も焼いてたしパスタも作ってたし魚も捌いていたしウサギも捌いたことがあります。バイトの大学生からは「店長よりパスタ作るの速い」とか言われて調子に乗っていました。そんな中やってきたコロナ禍。シフトに入れなくなりました。食うに困りました。誰か雇ってくださいとフェイスブックに書いたところ、阿佐ヶ谷のPUBLICというお店の店長が拾ってくれました。あの時の感動は今でも忘れません。
昼に洗い場をやっていたイタリアンは、今でも続いています。調理補助で応募したのに洗い場だけをやらされ続けました。いつか辞めてやると思い続けて3年ほど経った頃に、新しくパートが数人増えました。その人たちは洗い場ではなく基本調理補助、と聞き、えっそれおかしくない? 私の3年なんやったの? 辞めてやる! と騒いだ翌日から調理補助です。おかしくない? この件はいまだに根に持っています。根に持ってるけどなんだかんだ5年も働いています。入った当初は、ほとんど一人で洗い場をやっていました。そこそこ広くて繁盛している店なので、皿洗いと言っても重労働なのです。たまに二人体制の日もあったのですが、基本一人です。何故なら皆辞めるから。五年経ちましたが、シフト表の名前は私が一番上です。何故ならみんな辞めたから。最近では待遇も改善され、辞める人も減りました。今でも洗い場をやることは良くあるのですが、昔と違い一人じゃないし、協力し合えるので本当にありがたいです。たまに昔を思い出して視界が滲みますマジで。
今回の舞台では、約十年分の飲食業への想いを詰め込みました。
前回に引き続き出演してくれた寺田に千葉ちゃん。この二人は現代の北島マヤだと思っています。私は台本を書く時、基本的にその人の性格や演技の質に合わせて書いているのですが、この二人の場合はどんなに無茶な役を振っても大丈夫とわかっているので、今回も無茶ぶりさせていただきました。寺田は普段叫んだり怒鳴ったりするタイプではないのですが、今回無茶苦茶怒鳴ったり叫んだりします。親御さん許してください。千葉ちゃんは一人で20役やります。
今回初参加のおりおん。さん。彼の劇団の公演を観に行った時「あっこの人には何させてもいいんだ」と思いました。なんでもしてくれました。懐が広すぎます。
振付の遠藤は今回作詞もしてくれました。私が頭を抱えながら作詞に挑戦していた所、今まで見たことのないキラキラとした顔で「俺、書こうか⁉」と言ってきたのでお願いしました。急に知らん才能発揮してくるから怖いです。彼は今回劇中に登場する大量の絵も描きました。すごいです。
小道具を作ってくれた藤中。彼女は前回と前々回キャストとして参加してくれました。私が「舞台上で野菜を切りたいんだけどどうしよ~」とXで言っていた所、彼女が本物と見紛うばかりの野菜を作って送ってくれました。10年演劇やってるけどここまでリアルな野菜の小道具見たことないです。
音響照明美術は、10年前と同じメンバーです。今回音響プランをやってくれた西田は、はみだしにはなくてはならない存在です。彼女がいるかいないかで台本の書き方が大きく変わります。美術のモリグチには、今回もフライヤーを描いて貰いました。はみだしの顔です。あと宣伝用の動画も作ってくれました。急に知らん才能発揮してくるから怖いです。
照明の暮重さんは、私がこの世で一番大好きな照明さんです。10年前、初めて彼女に光を付けてもらった時の感動を未だに覚えています。私がいまだに演劇を愛せているのは、彼女の照明を見たからというのが大きいです。こんなにも変わるんだ、こんなにも立体的になるんだと、演劇の可能性を強く感じたのです。また一緒に演劇が出来ることが本当に、本当に嬉しいです。西田と同じく、彼女が今回ついてくれるという事で台本が本当に書きやすかったです。
私の羅列した文字が、キャスト、スタッフ、そしてこれを読んでくれているあなたによって、立体化されます。50分間の短いお芝居です。楽しんで頂けたら幸いです。
それでは、間もなく開演です。今しばらくお待ちください。
脚本・演出 渡部佑美

キャスト
寺田……寺田明子
料理長…千葉ほのか
店長……おりおん。(劇団ドラハ)
スタッフ
脚本・演出……渡部佑美
宣伝美術……モリグチロカ
音響(プラン)……西田アサリ
照明……暮重さとみ
振付・作詞……遠藤佐助
小道具……藤中夏実(野菜)
遠藤佐助(絵)
千葉ほのか(あさり)
渡部佑美(パペット)
ありがとうの気持ちです(順不同)
高円寺K’sスタジオ/瀧澤潔/La Voglia Mattaルミネ荻窪店/劇団ドラハ/藤中夏実
齊藤さん加護谷さん高森さん/優しいホールの皆様/飲食業に携わる全人類/そこのあなた!
物販情報
・上演台本(¥500)…過去作品もあります
・エッセイ本(¥800)…主宰が学生時代に自費出版したけど出版社が潰れて裁断になりかけていたのを引き取ったやつ
・はみだしヤケクソタオル(¥500)…ヤケクソで大量発注したタオルです
・労働つらいTシャツ(¥3000)…労働が辛い人のためのTシャツです。
他にもいろいろ!購入はこちらから↓↓
出演情報
おりおん。
ニュー古典『イケメン心中』
2025年12月3日(水)~7日(日) 下北沢スターダスト
次回公演
2025年4月下旬を予定。出演者も募集します。
Xのアカウント@hamidasibottiをフォローして続報をお待ちください!
劇団Twitter @hamidasibotti
劇団公式LINE @kws6463s
劇団ホームページ https://hamidasibotti.wixsite.com/hamidasi
公演アンケートにご協力お願い致します!↓↓




